春の水田はシギ・チドリのパラダイス~~観察&撮影のポイント~~
栃木県真岡市(真岡市中~青田(旧二宮町))の水田は、毎年、ゴールデンウィークの頃、「シギ・チドリのパラダイス」としてバードウォッチャーの間で、秘かに知られています。
2010年5月9日(日)、久しぶりにシギ・チドリ(通称「シギチ」)の野鳥観察に行ってきました。
飛来のピークはゴールデンウィークの中頃です。
ピークを1週間過ぎていることもあって、所々に小さな群れが見つかる程度です。
車を進めて行くと、30羽ほどのまとまった群れを発見。
ムナグロ、キョウジョシギ、キアシシギがせわしなく餌をついばんでいます。
「春の水田のシギチ御三家」が勢ぞろい。シギチ好きのバードウォッチャーには、たまらない光景です。
春の渡りのシーズン、真岡市中から青田にかけての水田に多くのシギチが飛来しますが、他の地域では、時々観察される程度です。
この一帯の水田が、シベリア等へ渡っていくシギチ達の休憩地となっているのは、おそらく何か理由があるのでしょう。
もしシギチが話せるなら、聞いてみたいですね(^_^;)。
シギチと言えば、普通は干潟(例:千葉県谷津干潟など)で観察することが多いと思いますが、春の水田で、車の中でお茶を飲んでゆっくりくつろぎながら、「渡りの神秘」に思いを馳せつつ、「シギチ観察」というのも、案外いいものです。
車の中なので、日に焼けませんし、シギチが目の前まで来てくれて、じっくり見られるのも気に入っています。
ちなみに、秋の渡り(9月中旬~下旬)の時は、県内へは、主に小山市網戸~藤岡町部屋にかけての水を張って管理している休耕田に飛来します。
春の渡りほど数は多くありませんが、種類数が多いのが特徴です。
主な種類は、タシギ(ジシギspを含む)、コチドリ、タカブシギ、ムナグロ、トウネン、クサシギ、アオアシシギなど。
比較的珍しい種類では、オジロトウネン、アカアシシギ、コアオアシシギなんかも観察できます。
【観察&撮影のポイント】
○ 農家の方が、田植作業中ですので、邪魔にならないよう注意してください。
○ 車から降りないで、車窓から観察することをお勧めします。
野鳥は、車に対してはあまり警戒心を抱かないので、目の前まで近づいてきて、羽の模様までじっくり観察できます。
車の外に出て、人の姿を見せると、あっと言う間に飛び立って逃げてしまいます。
○ 運が良ければ、群れの中に、「ハマシギ」、「チュウシャクシギ」、「エリマキシギ」、「サルハマシギ」などが混じっていることがあります。
珍しい種類を見たい方は、群れがいたら1羽ずつ双眼鏡で、しっかり確認してください。素晴らしいお宝発見には地道な努力が必要です。釣りと一緒ですね(^_^;)。
○ 写真は、車の助手席に三脚を立てて撮影します。
車のサスペンションを固定することができないので、車の振動が止まってからシャッターを押します。同乗の方がいる場合は、撮影する時は、なるべく動かないように協力してもらいましょう。
○ 晴天の日に撮影できれば、水面が青く映えるのできれいな写真が撮れます。
曇っていたりすると、水面が真っ白になって、あまり見栄えがしません。今回は少し雲がかかっていたので、全体的に白っぽくなって、いまいちでした。
【撮影データ】
「NFD500F4.5L」+「FD-EOSアダプター(近代インターナショナル)」+「キャノン EOS KISS DIGITAL」+三脚(車中に設置)。
絞りF5.6~8(実絞りはアダプターを付けているため1段暗くなりF8~11)、シャッタースピード1/500~1/350、絞り優先AE、評価測光、ISO100。
焦点距離は、500mm(レンズ)×1.4(アダプター)×1.6(キスデジ)=約1,120mmの超望遠です。
普通は、500㎜クラスのレンズに、1.4倍のテレコンをつければ十分でしょう。
フレーミングはあまり得意ではありませんが、今回の写真は、ノートリミングで掲載しました。
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コメント
>はなさん
こんばんは。
渡り鳥は、かなり高い高度を飛んでいるようです。
確か800mから1,500mを飛んでいると本に書いてあったと記憶しています。
高いところを飛ぶ野鳥としては、ヒマラヤを超えて渡るツル(アハネヅル?)が有名です。
利根川サクラマスの「澄ぎわと減水のタイミング」、鬼怒川スーパーヤマメと全く同じなんですね。
今年も、鬼怒川とともに那珂川の年券も買っているのですが、川俣湖ばかりで、まだ那珂川へは出かけていません。
こちらの方も、遡上のピークを迎えているでしょうから、そろそろ出かけてみたいと思います。
投稿: よっしー→はなさん | 2010年5月13日 (木) 21時57分
こんにちは。
昨日のネットニュースで、夏の渡り鳥死がいが高い山の雪渓で見つかっていると出ていました。大学の教授のコメントとして、高い山を越境中に天候の急激な変化があり、凍死したようと出ていました。今年のような安定しない天候は、いろいろなところに影響が出いると思いました。
一番関心のあるサクラマスの釣果は、利根川の利根大堰がピークを迎えてようです。今年は上流部は積雪量が多いため、晴れた1~2日後は雪シロ濁りが入り水位も上昇し、濁りも入りますが、澄ぎわと減水のタイミングが合えばサクラマスのチャンスが上がります。
投稿: はな | 2010年5月13日 (木) 09時38分
>mi-streamさん
こんばんは。
mi-streamさんの記事に触発されて、早速、出かけてきました(^_^)。
「シギチ」は、「ワシタカ」、「カモメ」と並んで、識別が難しい部類ですが、ジシギ類(タシギ、チュウジシギ、オオジシギ等)や一部の珍鳥を除けば、じっくり観察することができる分、ワシタカやカモメよりは、識別しやすい方だと思います。
ちなみに、私の最も苦手としているのは「カモメ類」です。
成鳥の羽色になるのに3年もかかって、その間、様々なパターンの羽色が存在するんですから・・・。冬の銚子港に何度か行って、ほぼ「降参」状態でした(^_^;)
水田のシギチ観察は、農道脇に車を停めて観察していると、相手からこちらに近づいてくれることもあって、目の前でじっくり見られるのが面白いところです。
まー、アウトドアの趣味なのに、車の中から観察というのも、ちょっと???という感じもするのですが、その辺は割り切って楽しんじゃいましょう。
シギチに限らず、野鳥撮影用の望遠レンズは、最短で500mm、できれば800mm相当があると楽です。
山の中で間近にやってくる小鳥類を狙う時は、400mmぐらいの方が使いやすい時もあります。
皆さんから誘われているようですが、ヤマメのライズ写真なんかにも使えますし、一本いっちゃいましょう!
投稿: よっしー→mi-streamさん | 2010年5月12日 (水) 22時22分
よっしーさん、こんばんは。
早速行かれたのですね。
ワタシがムナグロを見たのも偶然このエリアでしたので、もう少し粘れば色々なシギチが観察できたのかも知れません。
いままでシギチは識別が面倒で、「シギチsp」で済ませて来ましたが(笑)、これほど身近なところに渡りの経由地があると、定期的に観察したくなりますね。
1,120mm相当の写真、綺麗に写っていますね。
それにしても、鳥を撮ろうと思ったら、やはり800mmクラス以上が必要ですね・・・
投稿: mi-stream | 2010年5月12日 (水) 21時45分