コンパクトデジタルカメラ(キャノン PowerShot S110)にフィルター(PLフィルター&MCフィルター)を装着する改造・自作の方法
釣りや山登りなど、外出する時にいつも持ち歩いているコンパクトデジタルカメラ「キャノン Power Shot S110」。
写真の写り、デザイン、機能、いずれも文句なしで、気に入って使っているのですが、唯一の悩みは、釣った魚や大自然の素晴らしい風景を撮影する時に、PL(偏光)フィルターが付けられないこと。
また、魚のクローズアップ撮影する時に、魚が暴れて、カメラに水しぶきがかかってしまうことがあるので、レンズ前面に水滴が入らないようプロテクト・フィルターが付けられると助かります。
とは言っても、コンデジの場合、キャノン製に限らず、レンズ前面にフィルター装着のネジ山が切ってあるものはほとんどありません。
仕方ないと諦めていたところ、最近、「Canon Power Shot S110」に、フィルターを取り付ける専用アダプターが販売されていることを知りました。
「レンズメイト パワーショット S120/S110/S100/S95/S90専用 37mmフィルタークイックチェンジアダプター(5,985円)」(http://oriental-hobbies.com/fs/camera/lensmate0000006000060)です。
構造は至って簡単。
カメラのレンズ前に、アダプターを付ける台座を両面テープで接着して、その上に37mmのフィルターホルダーを取り付けるというもの。
3,000円程度なら、すぐにポチッとしちゃったのですが、値段(5,985円)の高さにマウスを押す指先が止まってしまいました
もしかしたら、個人で改造している人もいるかも? とネットで探してみたら、いろいろと工夫してPLフィルターを付けたコンデジで撮影を楽しんでいる方がいることが分かりました。
ならばと、部品を取り寄せて、自分でやってみたら、意外と簡単に自作することができました。
なるべく身近にあるものを使うことにしたので、新たに購入したものは、ステップアップリング(525円)のみと、お財布にもとっても優しく、大幅に節約できました。
道具類が揃っていない場合、金属ヤスリや両面テープ等を購入する必要がありますが、それでも大した出費ではありません。
ハクバのPLフィルター(1,527円)、レンズガード(1,000円)と合せて、3,000円程度で、PLフィルター付きのコンデジを手に入れることができました。
ちなみに、キャノンのPowerShot パワーショット (S120/S110/S100/S95/S90)なら、いずれの機種でも、全く同じ方法で改造できます。
是非、みなさんもチャレンジしてみてください。
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コンパクトデジタルカメラ 「キャノン Power Shot S110」にフィルター(CPLフィルター&MCフィルター)を装着する改造・自作の方法
~~~ 【ポイント】 ~~~
○ 適正サイズのステップアップリングを選定(Power Shot S110には「25mm→37mm」がベスト)して、レンズとフィルターを近づけて設置する
取り付けるフィルター径が小さいと、写真の四隅が黒くなる、いわゆる「ケラレ」が発生します。
ケラレを発生させない、レンズの鏡胴より大きめのステップアップリングを選びましょう。
今回は、市販品(http://oriental-hobbies.com/fs/camera/lensmate0000006000060)の37mmに合せたので、この点、悩むことはありませんでした。
他メーカーのコンデジの場合、ステップアップリングのフィルター径の最大は、カメラを立てた時にフィルターの下側が、カメラの底面を超えない範囲(デザインを考慮すると、あまり大きくない方がいいですね。
小さすぎるとケラレの心配が出てきます)にして、カメラ側のステップアップリングの径は、前面のレンズを塞がない少し大きめの径を選んでください。
この改造では、ステップアップリングの選定が重要なポイントになりますので、事前によく下調べしてください。
ステップアップリング自体、それほど高価ではないので、間違ってしまっても、買い直せばいいと考えれば、気楽にチャレンジできると思います。失敗は成功のもとですね。
フィルター径は、機能性を損なわない程度に、大きめのサイズをチョイスして、フィルターをレンズとなるべく離さずに取り付けるのがポイントです。
○ ステップアップリングのカメラ側のネジ山は全て削る
レンズとフィルターの距離をあけないで、正しくPL効果を発揮させるため、ステップアップリングのカメラ側のネジ山は徹底的に削るのがポイントです。
また、ステップアップリングの削る面は、様々な方向から削って、平らになるようにしてください。
ネジ山がなくなってからも、強度不足にならない程度に削り込んで、レンズとフィルターがなるべく離れないようにしてください。
○ 両面テープの粘着力は「普通」で十分
後で外す場合もあることを考えると、粘着力は「普通」のもので十分です。
外れたら、また付ければいいのです。
強力なテープは、厚み(1~1.2mm)があるものが多く、その厚さがフィルター面を前にしてしまうため、ケラレの原因になってしまいます(失敗談を参照)。
~~~ 【新たに購入したもの】 ~~~
○ ステップアップリング( 25-37mm)
楽天(http://item.rakuten.co.jp/kenko-k/4961607510681/)で「KENKO ケンコー デジカメ用ステップアップリング 25mm-37mm(525円送料込)」を購入。
フィルター径は、市販品の37mmに合せました。
台座部分になる、カメラ側の内径は、レンズ面を塞がない程度の「25mm」にして、25mm→37mmのステップアップリングにしました。
○ PLフィルター(37mm)、レンズガードフィルター(MCレンズガード、 37mm)
アマゾンで「HAKUBA 小口径用サーキュラーPLフィルター CF-CPL37D(1,527円)」と、「レンズガードフィルター(ハクバ、MCレンズガード、 37mm(854円)」を購入しました。
~~~ 【身近なもので用意したもの】 ~~~
○ 両面テープ(粘着力:普通)
「カメラのレンズ鏡胴」と「ステップアップリング」を接着するのに、自宅にあったごく普通の「再生紙両面テープ ナイスタック NW-20(20mm×10m、粘着力:普通」を使います。
○ 工具類 その他
金属ヤスリ、紙ヤスリ(1500番)、カッター、カメラ清掃用アルコール(オリンパス EEクリーナー等)。
~~~ 【具体的な改造・自作の方法】 ~~~
(1) ステップアップリングのカメラ側のネジ山の削り取り
ステップアップリングのカメラ側のネジ山を、金属ヤスリの上でゴリゴリ削ります。
削る時は、均一な平面になるよう、時々、持ち変えながら行ないましょう。
ネジ山を全て削り取ってしまっても、レンズとフィルター面の距離をあけないため、強度不足にならない程度に、さらに削り込んでください。
今回は、ステップアップリング側の台座となる部分の厚みは、1mm程度になってました。
金属ヤスリで削った後のバリは、紙ヤスリなどで、きれいに取り除きます。
(2) ステップアップリングのカメラレンズ前面への接着
カメラのバッテリーを抜いて、レンズ前面の接着面をカメラ洗浄用アルコールを付けたティッシュできれいに拭いて油分を取り除きます。
ステップアップリング側の接着面も同様に拭いてください。
次に、バッテリーを挿入して電源を入れた後、レンズを前面に出して、再度、バッテリーを抜きます。
カメラレンズ前面のレンズ窓の周囲に、小さく切った両面テープをグルッと一周貼り付けます。
レンズの上から、ステップアップリングを、上下左右がずれないように載せて、軽く押して接着。
この一連の設置法は、販売品の「レンズメイト パワーショット S120/S110/S100/S95/S90専用 37mmフィルタークイックチェンジアダプター」のページhttp://oriental-hobbies.com/fs/camera/lensmate0000006000060に動画が掲載されていますので、参考にしてください。
(3) PLフィルターの装着(完成)
最後に、ステップアップリングの先に、PLフィルターを付けて完成です
この時、四隅にケラレがないか確認してください。
ケラレが発生している場合は、レンズとフィルターの距離を縮めるため、ステップアップリングをさらに削り込んでみてください。
それでもダメな場合は、フィルター径が小さいことが原因なので、フィルター径の大きなステップアップリングを購入して再チャレンジです。
(4) PLフィルターの効果~~焦点距離は35mm以上で使う~~
肝心のPL効果ですが、24~35mmの間では、広角になるため、どうしても片効きになってしまいます。
レンズを青空に向けて、PLフィルターのリングをクルクル回すと、PL効果がでている部分は一部であることが分かりますし、撮影した写真を見れば一目瞭然。青い色にムラが出ているのが分かります。
24mmの広角側から、35mmまではムラになるのですが、35mmから望遠になると、ムラが出にくくなってきます。
メーカーが、PLフィルターを付けるためのオプションが発売しないのは、おそらく、これが原因と思われます。
広角にも対応するPLフィルターが登場してくれればいいのですが・・・。
PL効果の効いた写真を撮影するためには、焦点距離を35mm以上(できれば50mm以上)にしてください。
(5) フィルターを装着した撮影の実際
~~「レンズガードフィルター」と「PLフィルター」を使い分ける~~
釣ったトラウトを水辺に置いて撮影していると、魚が飛び跳ねて、水しぶきがレンズに付くことがあります。カメラに水滴が付くのが嫌で、思い切り近づけないんですよね。
そんな時でも、レンズガードフィルター(ハクバ、MCレンズガード、 37mm)を付けていれば、レンズとレンズシャッターの間に水滴が入ることはなく、安心してレンズを魚に向けることができます。
「通常は、レンズガードフィルターを付けて撮影。水面の反射を防ぎたい時などは、PLフィルターに付け替える(焦点距離は35mm以上で使用)」と使い分けるのをお薦めします。
~~~おまけ 「ステップアップリングを外す方法」 ~~~
しっかりした糸(釣り用ナイロンライン3号など)を、両面テープで接着した部分にぐるっと一回りして、糸の両端を強く引っ張ると、糸が両面テープに食い込んで、ポロッと外すことができます。
両面テープの粘着性が「強力」タイプだと、中々外れませんので「普通」にしてください(失敗談を参照)。
レンズ前面やステップアップリングに付いた両面テープの粘着部の残りかすは、「オリンパス EEクリーナー」で拭くと、きれいに取り除くことができます。
~~~ 【失敗談】 ~~~
カメラとステップアップリングを接着する時に、しっかり固定した方がいいだろうと、強力両面テープ「3MのScotch 超強力 プレミアゴールド 自動車内装用 両面テープ(幅15mm、厚み1.1mm)」を使ったところ、接着したまでは良かったのですが、テープが、厚みのある粘着性のあるゴム状なので、フィルター面が前に移動して、ケラレが発生してしまいました。
あわてて外そうとしたら、今度は、接着が強すぎて、なかなか外れず。
少し力を入れたら、レンズの鏡胴部分が、カメラ本体からスポッと抜けてしまうトラブル発生
切り離した後、鏡胴を再度カメラにセットし直したら、特に問題なく動作して、ほっと一安心です。
どうやら、レンズの鏡胴は、ほんのちょっと接着しているだけのようです。
あぶない アブナイ
改造で使う両面テープは、普通のタイプにして、強力なタイプを使わないようにしましょう。
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コメント
>よねさん@鱒美さん
せっかくなので、工夫した過程を詳しく掲載してみました。
お役に立てたようで何よりです(^_^)
投稿: よっしー→よねさん@鱒美さん | 2017年5月23日 (火) 23時00分
初めまして。
ココログ「ちびあまご」を発信しております、静岡のフライフィッシャー米澤と申します。
キャノンのコンデジG9Xにフィルターを装着したくて、ネットで検索したところ、貴ブログに辿り着きました。
こちらの日記を参考に、ステップアップリングを加工してカメラに取り付け、望んだとおりにPLフィルターを装着することができました。
詳細な情報の発信に、心から感謝いたします
投稿: よねさん@鱒美 | 2017年5月22日 (月) 22時03分