3月から始まったBS釣りビジョン。
無料放送中ということで、この1週間、家にいない時間は録画したりして、暇さえあれば観ていました。
若者向けの賑やかな番組が多くて、落ち着いた番組が好み40半ばのオヤジには、ついて行けそうもありません
もちろん、見応えのある上質な番組もありますので、選んで観ればいいので、その誘惑に負けて、契約しちゃうかもしれませんけど・・・。
観ていて思ったのは、「釣りは釣れてナンボ、釣りたいだけ釣っていいじゃない・・・」という釣果至上主義や、コマーシャリズムにどっぷりはまっているということ。商品紹介するメーカーの口上を聞いていると、あまりにもうさん臭く感じられて、ちょっとうんざり。本来の釣りは、もっとシンプルなのに・・・
まー、一般的には、こんな感じの捉え方なんでしょうね。
「釣りは文化、芸術、散歩」的な発想のよっしーは、どちらかと言うとマイナーなようです。
昨日(2012年3月9日)、放射性物質の影響で、100Bq/kgを超えたブラウントラウトやニジマスが確認されて、中禅寺湖の解禁が延期されました。
「釣る=食べる」と解釈され、釣る行為自体も禁止。
こんな状況の中、鬼怒川本流や那珂川などでも同様に解禁延期されていることもあって、「キャッチ&リリースで釣りを認めてほしい」という署名活動が、あちこちで始まっています。
よっしーは、普段からC&R派なので、それが可能ならありがたいですし、自ら行動を起こした釣り人達の勇気に拍手を送りたいと思う一方で、頭の中から、どうしても「?」マークが離れません。
ヤマメやイワナなどの淡水魚は増殖率が低く、釣り人の釣獲圧が、最も大きな負荷をかけています。
きれいなネイティブの魚を増やしていくためには、ゾーニング規制などで自然増殖を増やしていくことがいいのですが、釣り人のマナーが担保できないことから、漁協は、ひたすら放流量を増やして対応しているのが現状です(「イワナをもっと増やしたい」(中村智幸著)」より)。
渓流をはじめとした淡水域のトラウトフィッシングで、釣りを末永く楽しむためには、なるべく釣った魚をキープせずに、リリースするという、キャッチ&リリースを行うことが望ましく、それを実践するためには、魚を痛めない工夫が必要になります。
そういう基本的なことを理解した上で、自ら魚を痛めない(針を飲まれない)釣り、「餌釣り、ミッジなどの極小フライ、小型ルアーやワームの禁止、バーブレスフックの義務化など」を実行する覚悟の上に署名されているのでしょうか。
行き場のない不安・不満をぶつけるためにサインした、またはキャッチ&イートだった人が、釣りたい一心で(あわよくば、持ち帰って食べてちゃおう)、思わず署名した、などのケースも多いかもしれません。
釣り人の一人として、そういう気持ちも分からなくはありません。
時々、ブログやHPなどで見かける、釣った尺ヤマメを潰さんばかりにギュッと握っている方が、キャッチ&リリースになったからと言って、すぐに魚に触れないようにランディングネットで、すくうようになるとは思えません。
キャッチ&イートをしていた方が、今回の問題で、コロッと変わって、キャッチ&リリースを主張していたりするのを見ると、本質論が抜け落ちているように見えるのです。
キャッチ&リリースを徹底したとたん、針を飲んでしまって死んでしまった魚の死体が、岸辺に散乱する光景が広がったりして・・・。
キャッチ&リリースは、「魚を減らさずに、釣りを楽しむ方法」であって、「単に食べない釣りをする方法」ではないはずです。
もちろん、本気で魚や釣りのことを考えて行動されている方もいらっしゃるでしょう。この記事を読んで、気分を悪くされてしまったら、申し訳ありませんm(_._)m
また、釣り具関係者や釣り人が宿泊する旅館などでは、死活問題であり、そんな悠長なたことを言ってられないという事情も分かります(こちらは、東電に損害賠償を請求していくことを考えた方がいいでしょう)。
表面的な問題ばかりが取り上げられて、現状のトラウトフィッシングの問題点やキャッチ&リリースの本質が横に置かれたまま、急展開で署名活動が進んでいるのが気になって、ちょっと小言を言ってしまいました。お許しください。
話を戻します。
放射性物質による解禁延期の問題は、私たち釣り人にも多くの課題を突きつけています。
キャッチ&リリースに関して言えば、放射能問題を契機に、これまでの行き過ぎた釣果至上主義から脱却して、多くの釣り人が末永く楽しめる釣り場作りが求められているのではないでしょうか。
釣り人自らのマナーの向上によって、自然と魚にやさしいキャッチ&リリースを広めていくために、釣り人一人一人が、これまでの状況を是とせずに、一度立ち止まって、じっくり考え抜くことが求められています。
その過程を経なければ、結論は出てきません。面倒くさいかもしれませんが、地道に一歩ずつ、時間をかけて自問自答を繰り返し、前に進んでいくことが必要なのです。
明日(2012年3月11日)で、東日本震災から丸1年経ちます。セシウム134の半減期は2年、137は30年、ほぼ同量飛散したので、5年後にはおよそ半減すると言われており、おそらく長い問題になるでしょう。
よっしーは、原発事故による放射能問題は、現代文明に対する自然のしっぺ返し、「人間よ、日本人よ、自分たちがやってきたことが正しかったのか、生き方、考え方を見直した方がいいのではないか。しばし立ち止まって考えてみなさい」という神様からお告げではないかと考えています。
栃木県内には、無事解禁されるフィールドもありますので、おそらく、私も含め、みなさんも、時々釣りにでかけることでしょう。ただ、今回の解禁延期によって、釣りができない時間が増えることは間違いありません。
そこで、この空いた時間を、ボジティブに捉えて、自分の釣りやより良い釣り場づくりについて考えてみませんか。
失って気付く、釣りの素晴らしさ&ありがたさ。せっかくチャンスを逃さず、みんなで一緒に考えながら、「栃木の素晴らしい釣り場づくり」を目指して、新たなステップに踏み出していきましょう!
よっしーは、自宅でハンドメイド・ミノー作りやタックルのメンテしたり、時々、そば打ちや庭の手入れをしながら、原点に戻って思索の旅に出かけてみようと思います。
【追伸】
今朝(2012年3月10日(土))の下野新聞に、『渓流釣り解禁延期に「死活問題」 県内関係者に困惑広がる』http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20120309/736890なんて記事が掲載されてました。すでに釣り人の署名活動だけではなく、漁協の要望活動も始まっているようです。
事態は様々な分野を巻き込んで、深刻さを増しながら、本質論に入らずに、このままの勢いで流れていきそうです。
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